PHILOSOPHY
商品開発のこだわり | 松永 良大
医療現場の声を聞き、デザインと着心地にこだわった「ジェラートピケ&クラシコ」誕生秘話

PROFILE

クラシコ株式会社
執行役員/商品部部長 兼 MD
松永良大
(まつなが りょうた)
服飾専門学校卒業後、イッセイミヤケにレディース・パタンナーとして入社。女性服作りを4年間実践し、「白衣を世界に向けてECで」というユニークさに惹かれクラシコ株式会社に。ジェラート ピケとのコラボレーションによる「ジェラートピケ&クラシコ」ブランドを立ち上げ新感覚のナースウェア開発を実践。
服飾専門学校卒業後、イッセイミヤケにレディース・パタンナーとして入社。女性服作りを4年間実践し、「白衣を世界に向けてECで」というユニークさに惹かれクラシコ株式会社に。ジェラート ピケとのコラボレーションによる「ジェラートピケ&クラシコ」ブランドを立ち上げ新感覚のナースウェア開発を実践。
INTERVIEW
クラシコは、「世界中の医療現場に、人間的で、感性的で、直感的な革新を生む。」をミッションに、医療用白衣やナース服などの商品開発を行っています。オリジナル製品だけでなく、ルームウェアで有名な「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」とコラボしたナース服ブランド「ジェラートピケ&クラシコ」も展開しています。その生みの親である、執行役員/商品部部長 兼 MDの松永に、ブランド着想の背景や製品化の舞台裏、そして事業にかける想いを聞きました。
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デザインと着心地の良さで、医療従事者の仕事の質を高めたい-なぜ、ジェラート ピケとのコラボレーションを思い立ったのでしょうか?クラシコの前はイッセイミヤケで勤務していました。着飾ることがメインのブランドです。一方クラシコは医療従事者が着る仕事着が中心のメーカーです。しかし、たとえ仕事着といっても、それによって医療従事者のモチベーションが高まり、二次的な効果として患者さんにもよい変化を与えられる可能性を秘めています。仕事着がその仕事の新しい可能性を開くかもしれない……そんな新たな魅力を感じてクラシコに入社しました。
そして、ブランドとのコラボ商品を企画するなかで、ジェラートピケさんなら、看護師さん達のために魅力ある仕事着を提供でると考えたのです。なぜなら、ジェラートピケは、淡いピンクやミントなどの色みの表現を一番得意としています。これによって、医療現場で看護師さんたちが、患者さんに優しい印象を与えられると思いました。
またルームウェアが中心のブランドなので、着心地にも定評があります。1日中着るユニフォームでは大切な点です。ジェラート ピケを扱う株式会社マッシュスタイルラボさんに提案した際にも、私たちの医療業界への取り組みにとても共感を持っていただけた点もあり、コラボを進めることになったのです。 -
ジェラート ピケの世界と、ナースウェアの機能・要件を融合-「ジェラートピケ&クラシコ」の製品を開発するにあたって苦労された点はありますか難しかった点の一つが、見た目のデザインです。ジェラート ピケはルームウェアが中心なので、部屋の中で可愛く感じられるけれど、人に見られることが少ないデザインなんですね。ですから、ブランドが出してくるデザイン案は当然華やかです。しかし、ナースウェアは職場でいろいろな方に見られるものですから華美すぎてはいけません。また、病院ごとの決まりのようなものもあります。「だけどジェラート ピケらしさも出したい!」……このバランスを取るのは私たちクラシコの役目で、この調整が一番難しかったですね。
それから、素材開発にも苦労しました。ルームウェアは肌触りや着心地をすごく重視します。ユニフォームにおいても実現を目指すのですが、何年か着続けるものなので、どちらかというと固めの素材が求められます。だけど、それではジェラートピケの柔らかい風合いが出ません。ジェラートピケの視点で、ここまでの風合いだったらギリギリ許容でき、かつ長い利用にも耐えられるという素材にするため、試作を何度も繰り返しました。素材の開発には1年ぐらいかったと思います。 -
-クラシコが作る服の素材は、生地メーカーの協力のもと、常に試行錯誤していますねユニフォーム用の生地はたくさんあるのですが、それですとなかなか着心地の良さを作り込めません。クラシコの場合は、一般のファッション向け素材から調達する場合が多いのです。「この素材ならユニフォームでも耐えられるのでは」という、これまで培った弊社なりの感覚があって、当たりをつけて採用しています。それらの生地をユニフォーム向けの試験に通してみる、そこでクリアできなかったら、もうちょっと糸を強くするといった改良を生地メーカーさんと一緒にどんどん行います。今の風合いはそのままで、破れにくさを高める、熱で縮まないと、いったお願いをします。サンプル作って、また試験といった工程を納得ゆくまで繰り返す、一種の研究開発のような文化が私たちの組織にはあるのです。
個人向け製品でなく、医院に導入いただく製品の場合、自宅での洗濯ではなく、大きな業務用のランドリーで洗濯されるため、より耐久性が求められます。ですから、医院と取引されている洗濯業者さんのテストをクリアできるようなテストもしています。 -
医療現場の意見を反映し、期待どおりの反応を得る-製品開発において、医療現場への配慮はどうされましたか?クラシコは医療業界のことをある程度は理解しているのですが、ジェラートピケさん側の企画の方たちには当然未経験の分野です。そこで医療業界を理解いただくため、病院の看護部長や看護師の皆様、も交えた座談会を開き、日頃の業務のこと、ユニフォームに求めることを詳しくお聞きしました。加えて現場の看護師さんたちの普段着も拝見しました。医療服や、看護師さんのリアルを捉えて開発に臨むことができたのです。
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-いろいろと開発の苦労がありましたね。製品を販売したあとの反応はいかがでしたか?「本当にいいものができた」と感じました。実際に手に取っていただいた方の反応を聞くと、ジェラート ピケをご存知ない方でも「生地感がすごくいいよね」と興味持っていただけました。ナースウェアには競合がたくさんありますが、ジェラートピケさんのようなブランドとコラボの製品はなかったので、実はできあがる前から「いける」って思って開発していました。ですから、販売を開始してときは、その答え合わせしているみたいで、ほっとしましたね。
製品ができて、ある医院の看護部長の方とお話したとき「生地の感触がとても良い」とおっしゃっていただけました。また、若い看護師さんはジェラートピケのことをご存知で、強い興味を持たれることから「これなら導入したほうがいい」と感じていただけるようです。「ジェラートピケ&クラシコ」のナースウェアで看護師さんたちのモチベーションがアップすることを僕らも目指していますから、ありがたいですね。
しかし、「すごくいいね」というご意見をいただいた反面、入念な準備をするものの、扱い方によっては毛玉ができるなど、生地の物性面でトラブルが起きた製品もありました。洗濯業者さんの洗濯の仕方や、看護師さんによっては、テストで想定していない状況も起きます。それによっては生地が傷んだり、毛玉ができたりすることもあります。そんなときは、当然生地を変更するなどの改良をします。作って終わりではなく、耐えず改良を加えていきます。 -
顧客に喜んでいただくために、改良を重ねていくのが強み-「ジェラートピケ&クラシコ」を実現したクラシコの強みとはなんでしょうか?クラシコは、ECサイトを運営していて顧客とダイレクトでつながっています。顧客の意見をすぐに吸い上げて、商品の改善を行うというサイクルを素早く行なっています。通販の場合、商品をお届けして1週間後に感想を求めるメールをお送りしています。たくさんの忌憚のない意見が常に届くんですよ。たとえば、「肩のところが動きにくい」「ポケットはもう少し深い方がいい」など、いろいろなご意見から、新たな発見をしています。
そして、いただいたご意見はすぐに次の企画に反映します。既存商品でもデザインが変わらない範囲ならどんどん改善をしていきます。このように、お客様の意見をすぐに反映して短いサイクルで改良していくという体制があるのは他社にない強みのひとつですね。
またクラシコのブランド自体が、ユニフォームとファッションとの融合を目指している点も強みです。私たちは、お客様が医療現場で「着たい」と思うようなファッションを取り入れて製品を開発しています。ここはなかなか他のユニフォームメーカーさんが踏み込めていない領域ではと感じでいます。私たちの作ったユニフォームを着て「嬉しいな」という気持ちを抱いていただけるのが、私たちの強みではないでしょうか。
私自身は今後、ユニフォームだけでなく、シューズなど、看護師の皆さんの身の回りのものは一通りラインアップして、皆さんがどんどんモチベーションを高められるものを提供できればいいなと思っています。
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