PHILOSOPHY

商品開発のこだわり | 大豆生田 伸夫

耐久性とファッション性の両立を目指す―糸の撚りから開発し、目指したクラシコ品質

商品開発のこだわり | 大豆生田 伸夫
PROFILE
大豆生田 伸夫

クラシコ株式会社 
取締役/チーフデザイナー
大豆生田 伸夫
(おおまめうだ のぶお)

服飾系の専門学校を卒業後、大手アパレル会社を経験し、銀座のテーラーメイドのスーツ店で8年勤務。1人ひとりの顧客に合わせて型紙を取り縫製する、フルハンドのイタリー仕立てスーツ等を手がける。高校時代の同級生の医師との会話から、医療従事者向け白衣に需要があることを知り、医療への貢献にも意義を感じ、現クラシコ代表、大和 新(おおわ あらた)とともに白衣のオーダーメイドを開始し、現在に至る。

服飾系の専門学校を卒業後、大手アパレル会社を経験し、銀座のテーラーメイドのスーツ店で8年勤務。1人ひとりの顧客に合わせて型紙を取り縫製する、フルハンドのイタリー仕立てスーツ等を手がける。高校時代の同級生の医師との会話から、医療従事者向け白衣に需要があることを知り、医療への貢献にも意義を感じ、現クラシコ代表、大和 新(おおわ あらた)とともに白衣のオーダーメイドを開始し、現在に至る。

INTERVIEW
代表の大和と共にクラシコを立ち上げた、チーフデザイナーの大豆生田。クラシコ以前は、クラシックファッションの歴史そのものとも言える最高級イタリースーツの仕立て職人でした。その新たな挑戦は、一品物のファッションとは真逆とも言える白衣ユニフォームの世界。白衣の世界にも美しさや心地よさを求める医療従事者がいることを知り、まったく新しい世界に飛び込み、今のクラシコを作り上げるまでには、どんな道のりがあったのか。創業から現在、そして未来についいて聞きました。
  • 一般のアパレルとは異なるユニフォームの世界。素材は1本の糸から見直した
    -クラシコでのものづくりは、どのようにスタートしましたか?
    ユニフォームは、それまでのテーラーメイドのスーツづくりでは経験したことがない分野で、特に白衣の場合は洗濯などが通常のファッションと異なるというところから調べ始めて、どんな洗濯方法なのか、それに向いている素材はどんなものなのかという調査からスタートしました。

    それまで手がけてきたスーツなどの高級衣料は、基本的に物性(生地の強さ)とは遠い場所にあるものです。手触りはとても良いのですが、自宅での洗濯は難しいです。水洗いもできないのでドライクリーニングに出さなければならないなど、維持に手間がかかってしまいます。一方、白衣は、水洗い洗濯や自宅の洗濯機で激しく扱われるなど、今まで経験したアパレルとは根底から違ったのです。

    そこで、素材の選定を1から始めました。素材開発の経験はなかったので、生地屋さんと一緒にトライ&エラーを繰り返しながら、出してみては駄目、というのを何度も繰り返し行って改善していきました。ここが一番苦労したところで、今でも絶えず行っていることです。
    商品開発のこだわり | 大豆生田 伸夫
  • -そこまで素材開発にこだわって、良かった点はありますでしょうか
    クラシコが提供する商品は、基本的にユニフォームです。デザインはシンプルでミニマルなものを目指しています。対象の年齢層も広く、20代から60代といった方々が着られても、その人たちを輝かせるように、基本的にはベーシックなところを追求していきたいと思って作っています。さらにシンプルながら、ファッション性をどう融合させるかという点にもこだわっているので、やはり素材の部分がいちばん難しくなります。

    たとえば、通常のアパレルのようにファッション性のある素材を使えば、見た目はすごくいいものの、耐久性が悪くなります。逆に耐久性を求めると、良い触り心地や肌触りの実現が難しくなります。耐久性のある物性だけれど、ファッション性も感じられる、肌触りも心地良いものになる素材を追求するように心がけています。商品は複数ありますので、常にいろいろな素材を、同時に試しているんですね。

    ですからお客様から「今までに感じたことがないファッション性があって、なおかつ肌触りも良い」といった感想をいただくと、私たちの想いがお客様に届いたんだなと思えて、達成感を得ることができます。ユニフォームとファッションと上手にバランスよく融合させる、この部分がクラシコの強みなのです。
    商品開発のこだわり | 大豆生田 伸夫
  • 新たな挑戦として、病院向けの商品の提供を開始
    -ルームウェアで有名な「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」とコラボした「ジェラート ピケ&クラシコ」のユニフォームには、個人向けではなく病院向けのものもあります。どのような違いがありますか?
    病院向けですと、洗濯の耐久レベルがまた一つ上がります。個人向けですと1年で買い換える方もいるし、洗濯も自宅や病院で洗うことが多いのです。病院が一括して管理するナースウェアの場合は、洗濯は洗濯専門の業者さんが、80℃ぐらいの高温度の洗濯機で洗うので、常に強い力がかかります。これを4年間続けても問題がないようにしなければいけないのです。今まで以上の耐久性を求められるのです。

    それでも、今まで通りファッション性を感じていただき、これまでのユニフォームにはない肌触りの良さを目指して、素材開発にはすごくこだわりました。病院向け商品の素材開発には1年半から2年間ぐらいはかかっていますね。たとえば、高い耐久性を目指すために、織物を構成する糸づかいから変える、組織を変える、それでも駄目だったら原糸(糸を構成する最小単位)に撚 (よ)りをかける(ねじる)といったとこまで生地屋さんと一緒にとことん研究していきました。

    糸を1本または2本以上そろえて撚りをかける撚糸(ねんし)工程は、600回転、800回転、2000回転などあり、撚りをかければかけるほど糸は強くなるのですが、肌触りが悪くなります。ここでは強さと肌触りのバランスを取り、生地についても平織りのツイードなどいろいろな方法があるのですが、そこをどういうふうに組み込んでいけば理想のタッチが得られて、かつ物性が保たれるかというところを検証に次ぐ検証を行って確かめました。時間が非常にかかりましたが、結果的に耐久性と肌触りの良さを備えたものになり、また次に新しいものを出すときの知見も溜まってきたのは良かったと思っています。
    商品開発のこだわり | 大豆生田 伸夫
  • -病院向け商品をリリースして、お客様からどんな反響がありましたか
    おかげさまで、一括導入していただいて病院様がすでにいくつかございます。その病院の看護部長さんが、私たちのジェラートピケ&クラシコを見たときに共感してくださって、現場の看護師さんからも「(これを着れば)すごくモチベーションが上がる」といったお声もいただいています。

    看護師さんたちのチームにとって、働く上でのモチベーションはとても大切な要素だと思うのです。また、患者さんに対してや、看護師さんの採用面など、病院のブランディングの要素の一つにもなると思うのです。ウェアを通して、その病院の心地よさや、働きがいなどのブランディングに貢献できればと思っています。

    特に、ジェラート ピケ&クラシコのナースウェアは、病院内の空間を柔らかくしたり、華やかにしたりする効果があると思っています。それは患者さんにも感じてもらって、働く人も患者さんも心地良くなれるなら素晴らしいことと思いますね。
  • 海外の医療従事者にも届けたい、また患者さんが着る服も提供したい
    -クラシコとして今後目指していくのはどんな方向でしょうか
    さまざまな知見は蓄積されてきましたが、現状に満足することなく今よりもっと心地良いものを、これからも開発すべきだし今後も追求していきたいと思っています。耐久性は担保しつつも、より着心地が良いもの、ジェラート ピケなど、コラボするブランドジのコンセプトに合うような、素材感などをしっかりと再現できるように引き続き努めてまいりたいと思っています。

    BtoCの個人向けECから始まり、BtoBの病院向けビジネスまで展開しました。これらをそれぞれ伸ばしていきたいですが、さらに次のステップとしてはグローバルのシェアナンバーワンっていうところを目指したいですね。海外の市場規模はとても大きいので、今のものづくりにこだわりながら、拡張していきたいです。
    商品開発のこだわり | 大豆生田 伸夫
  • -個人としては、どのような展望・目標をお持ちですか?
    白衣や看護師のユニフォームだけでなく、別の衣料の開発を検討しています。これまでは医療従事者向けでしたが、今度は、医療現場のなかでも、患者さんに向けたウェアの開発をしていきたいと考えているのです。今まで医療現場を見てきて、自分でも欲しい患者着が見当たらなかったので、研究・開発を進めているところです。

    私自身は、どちらかというとものづくりにこだわるタイプなので、常に満足していません。売れた、売れないにかかわらず、追求していきたいという志向があるのです。もちろん、作った商品が売れるのはもちろん嬉しいですし、売れなかったらやっぱり、寂しい部分があります。商品としては自分たちや洗濯事業者が認める品質水準というものがありますが、それとは全く別のところで、作り手としては出したものに100%の満足はしていないです。「もっと良くなる」「良くなれるところがないか」と追求してしまいます。

    いつもこんな風に考えていますので、これからものづくりやクリエイティブのところに特化していきたいと思っています。まだまだユニフォームとファッションがマッチしていない部分もありますし、自分自身でやっていない挑戦もたくさんあります。ものづくりには終わりがないのです。
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